中国語を覚えたての時期は、故事成語(ことわざ)は難しすぎて、敬遠する方も多いですよね。
私もそうでした。
でも、中国語初心者の時期が終わるころには、故事成語も少しずつ覚えていきたいと思うようになり、最初に使えるようになったのが「走马看花」という成語でした。
単語説明
「走马看花(zou3ma3kan4hua1/ゾウマーカンホア)」は、「ざっと見る」「おおざっぱに見る」という意味の成語。
解説:「走(zou3/ゾウ)」は、今の中国語では「歩く」という意味ですが、かつてはその字のまま、「走る」という意味で用いられていました。
「马(ma3/マー)」は、「馬」の意味。
「看(kan4/カン)」は、「見る」という意味の動詞。
つまり、「走马看花」は、直訳では「走っている馬から、花見をする」という意味になります。
もちろん、走っている馬から花見をしても、じっくり味わうことは出来ませんよね。
そこから「おおざっぱに物ごとの表面を見るだけで、しっかり観察していない」という意味に使われるようになったんですね。
「走马看花」の文字を見ながら、初めてこの説明を聞いたときは、たった4文字で上手に表現するなと、とても感心しました。
では、実際この成語をどう使うか見てみましょう。
「走马看花」を使った会話例@
Aさん:「你 去过 故宫 吗?感受 怎么样?」
(ni3 qu4guo gu4gong1 ma? Gan3shou4 zen3meyang4?)
「ニー チューグオ グーゴン マ?ガンショウ ゼンマヤン?」
意味:「故宮博物院に行ったことがありますか?どんな感じですか?」
Bさん:「没有 足够 的 时间,只是 走马看花 地 看看 而已。」
(mei2you3 zu2gou4 de shi2jian1 zhi3shi4 zou3ma3kan4hua1 di kan4kan4 er2yi3)
「メイヨウ ズーゴウ ダ シージエン、ジシー ゾウマーカンホア ダ カンカン アーイー。」
意味:「十分な時間がなかったので、おおざっぱに見て回っただけなんですよ〜。」
単語説明
「去(qu4/チュー)」は、「行く」という意味の動詞。
「故宫(gu4gong1/グーゴン)」は、「故宮博物院」のことで、北京にあるものが一番有名。
「感受(gan3shou4/ガンショウ)」は、「感じとったこと」「分かったこと」の意味。
解説:「感觉(gan3jue2/ガンジュエ)」でも、ほぼ同じ意味になります。
「足够(zu2gou4/ズーゴウ)」は、「足りる」「十分な」の意味。
「只是〜〜(zhi3shi4/ジシー)」は、「ただ〜〜に過ぎない」の意味。
北京の「故宮博物院」は、東京ドームおよそ15個分の広さで、とにかく大きいので、隅々までじっくり見るというよりも、全体をざっくり見て、大きさに驚く感じですね。
「走马看花」の使い方A
例文2:「签 合同 的 时候,请 不要 走马看花。」
(qian1 he2tong2 de shi2hou,qing3 bu2yao4 zou3ma3kan4hua1)
「チエン フートン ダ シーホウ、チン ブヤオ ゾウマーカンホア。」
意味:「契約書にサインする時は、じっくり読んでくださいね。」
単語説明
「签(qian1/チエン)」は、「署名する」という意味の動詞。
「合同(he2tong2/フートン)」は、「契約」の意味。
「不要〜〜(bu2yao4/ブヤオ)」は、「〜〜をしてはいけない」の意味。
「不要走马看花」で、「おおざっぱに読んではいけない」つまり「じっくり読んでください」の意味。
中国で契約書にサインする時は、日本でする時以上に、注意深さがいります。
契約更新の方法や、違約金に関する条項など、細かいところまで、しっかり目を通しましょう。
パッと目を通すのではなくて、じっくり読んで欲しい文書を、相手に手渡す際にも、例文2「不要走马看花」は用いられます。
成語は、なじみのない難しい漢字を使っていて、覚えずらいものもあります。
でも、「走马看花」は、使っている漢字も簡単で、日本人には、意味のイメージしやすい成語の一つなので、覚えておきたいですね。
ちなみに、中国の地方によっては「走马看花」ではなくて「走马观花(zou3ma3guan1hua1/ゾウマグアンホア)」が正式な言い方だという中国の方もおられますので、その場合は相手に合わせましょう。
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